ラバーダム・マイクロスコープ・CT「使用率100%」
ラバーダム・マイクロスコープ・CT「使用率100%」
むし歯菌が神経まで達してしまっているような重度のむし歯の場合、根管治療を行います。
根管治療とはむし歯に冒された神経や歯質を取り除き、根管をきれいにしてから被せ物をする治療です。
ただ、この神経を取る治療は、難易度が高く、また非常に手間がかかる治療であり、東京医科歯科大学の発表で「日本の根管治療の成功率が30~50%」というデータがあり、約半数以上が再治療が必要になるといわれております。
上記のグラフは、東京医科歯科大学むし歯外来で調査した根管治療における根尖部X線透過像の発現率です。(根管治療の失敗率を表してます)
歯の神経を治療した患者様が、東京医科歯科大学のむし歯歯外来に来院し、その時に根の先に病気が見つかった発現率(根管治療を失敗した)割合を表しています。
結論から言うと根管治療後に再発や不調が起こる主な原因は、根の中をキレイにできなかった(感染物質を残してしまった)事であります。
例えば、汚染された海をキレイにしようとした時に、いくら海を頑張ってきれいにしても流れてくる川が汚いといつまでも海はきれいにならないです。
これが根管治療にも言えることで、根っこ(=海に流れる川)の感染物質を取り除かない限り、根管治療が再び必要になる可能性が極めて高いです。
ただ、この根をキレイにする根管治療は、決して簡単な作業ではなく、時間・技術・そしてそれを行う為の器具・機材が必要になり、非常に大きな労力が必要になる処置であると言えます。前述した通り、日本の根管治療の成功率が30~50%に対して、アメリカでの根管治療の成功率は90~95%と言われています。
残念ながら、日本で行われている根管治療の成功率は、30〜50%と言われています。一方、アメリカの根管治療の成功率は90%以上と言われており大きな差があります。 歯の神経を取る際、洗浄や消毒が不十分であったり、密封しきれていなかったりすると数か月〜数年後に痛みや違和感が出ることがあります。
このような場合、再根管治療で歯の内部の細菌数を減らす治療を行います。しかし、なぜ一度根管治療を行なったのにもかかわらず、再根管治療が必要になることが多いのでしょうか。これには、さまざまな要因が挙げられますが、中でも国民皆保険制度が大きく関係していると考えられます。
国民皆保険制度は保険証があればどこでも一定基準の医療が安く受けられる素晴らしい制度です。しかし、歯科における国民皆保険制度では、「安い診療報酬」で「限られた範囲での治療」が行われています。
例えば、根管治療の診療報酬は奥歯1本約9,000円で、3割負担の人であれば約2,700円、1割負担の人であれば約900円で済みます。一方、諸外国の根管治療の費用をみると、アメリカは約10万~15万円、イギリスでは約10万円、物価が安いと言われているフィリピンでさえ7万円ほどかかるのです。なぜ、諸外国では根管治療の治療費が高いのでしょうか。根管治療は歯科治療の中でも難しいとされ、時間と手間がかかること、そして根管治療によって歯の寿命を決定付けるために責任が重いこと、材料や薬剤にコストがかかるためです。
日本の保険制度内で行う治療は、治療方法や使用できる材料、時間に一定のルールが設けられており、それ以上の治療を行うことができません。限られた範囲での治療になるため、症状によっては十分な治療を受けられない場合も多いのです。
根管治療は、保険のルールに従って行う保険診療と、使用する薬剤や時間に制限がない自費診療に分けられます。
根管治療における保険診療と自費診療の大きな違いは、設備や使用する薬剤、治療にかけられる時間です。例えば、歯科用CT・マイクロスコープ・ラバーダムの使用は、根管治療の成功率を上げるために欠かせないものですが、保険診療ではこれらの機材を使用することはほとんどありません。
歯科用CTは、平面のレントゲン写真と違って歯の内部まで立体的に撮影でき、歯の根っこの長さ、太さ、奥行き、病巣の大きさなどを正確に把握することができます。マイクロスコープは、歯科用の拡大顕微鏡です。肉眼では見えない暗くて狭い歯の内部を明るく照らしながら拡大して見ることができます。ラバーダムは、唾液や細菌が侵入しないために装着するゴム製のシートです。治療する歯だけ露出させて唾液や細菌が根管内に入るのを防ぎます。ラバーダムを使用することで根管治療の成功率は約90%まで高まると言われています。
保険診療は安く済ませられますが、CTやマイクロスコープ、ラバーダムを使い時間をかけて丁寧に行う自費の根管治療は精度が高く、予後は圧倒的に優れているのです。
これまでの治療は、「肉眼」でこの処置を行っておりました。
当然、肉眼での処置は精度にかけ「勘」や「経験」に頼らざるを得なく、ときには「再治療(やり直し)」や最悪のケースで「抜歯」の選択を迫られるケースもありました。
しかし、「マイクロスコープ」という治療部位を高倍率で拡大する歯科用顕微鏡の登場で、今まで見えなかったもの見えるようになり、根管内を確認しながら治療することが可能になりました。
精度の高い根管治療を行うには、どれだけしっかりと患部を確認できるかが成功率に大きく影響します。このマイクロスコープは根管治療をする上で欠かすことのできない機材です。
マイクロスコープとは、治療部位を4倍から最大20倍まで拡大して観察できる顕微鏡のことです。根管治要では内部の汚れを除去することが重要で、そのためには根管内を把握することが必要になります。
根管内は複雑に入り組んでおり、途中で分岐していたり曲がっていたりするケースも多いです。従来の根管治療は見えない状態で手探りで行っているため、取り残しが生じて痛みや炎症が再発してしまうことも少なくありません。しかし、マイクロスコープを使用することで、根管内を見ながら治療ができ、より正確で精密な治療ができます。治療部位を拡大視できるマイクロスコープは、根管治療において成功率を上げるために欠かすことのできない機材の一つなのです。
一方マイクロスコープのデメリットには、1回あたりの治療時間が長くなることが挙げられます。これは、精密根管治療は細部まで注意しなければならないことと、患部を見るために位置と焦点を合わせる必要があるためです。そのため、治療時間を短く済ませたい方には不向きかもしれません。
当院の特徴としては治療時に衛生士2名をアシスタントとして配置し、3名体制で患者様の治療を行っています。 3名体制で治療を行うことで医師が治療道具を取る際にもマイクロスコープから目を離すことなく治療に集中でき、患者様により正確な治療を提供することができます。
一般的な歯科医院では外科処置のときのみアシスタントを配置することが多く、当院のように保存治療の場合にも2名のアシスタントを配置する医院はなかなか有りません。
ラバーダム防湿とは、治療する歯以外に薄いゴム製のシートをかぶせて唾液や菌による治療箇所の感染を防止する器具です。ラバーダムを使う事で、様々な菌が治療箇所に侵入する事を防ぎより精度の高い治療を行う事が可能になります。
欧米では、根管治療においてラバーダムを使用することは当たり前になっておりますが、日本では実施している歯科医院は「5%」とも言われております。
当院では、根管治療の際にラバーダムを使用し治療を行っておりますので、ご安心ください。
マイクロスコープと同じく、CTも患部を正確に把握するための検査機器です。
通常、歯科治療ではレントゲンで検査することが多く、レントゲン検査でも大まかに口腔内の状況を把握することができます。しかし、歯科用CTを活用することでレントゲンでは発見できない小さな病変も可視化することができます。
根管治療は、非常に細かい作業を要し、非常に手間のかかる治療です。良い治療結果を残すなら、当然、時間をかけて丁寧に行う必要があります。ただ、時間や費用の縛りのある保険制度では、1回の処置に掛けられる時間はどうしても限られてしまうのが現実かもしれません。その結果、1回の処置内容を少なくし、通院回数が多くなった経験は無いでしょうか?このように長い治療期間をかけてしまうと、結果的に再感染が起こってしまったり、歯が割れやすくなるリスクがあります。その為、回数を少し短い期間で集中的に時間をかけて治療をすることが望まれます。
当院では、1回の治療に60~90分ほどの時間をかけ、多数の治療機器を使用し丁寧に治療を行います。そして概ね1~3回の通院で治療を完了します。
根管治療後に、クラウン(被せ物)をして一連の治療は終了しますが、この「クラウン(被せ物)」と自分の歯に隙間が開いているといくら完璧な根管治療を行えても、その隙間から細菌が侵入して根の先に病気を作ることがいくつかの研究でわかってきています。下記のグラフは、根管治療とクラウン(被せ物)の処置がそれぞれ良い・悪い時の成功率を表したものです。
根管治療 | クラウン | 成功率 |
---|---|---|
良 | 良 | 91.4% |
悪い | 良 | 67.6% |
良い | 悪い | 44.1% |
悪い | 悪い | 18.1% |
(Ray HA.Trope M.Int Endod J;1995 Jan;288(1):12-8)
このように、根管治療がうまくできても、精度の低い被せ物を装着してしまうと、再び治療が必要になるケースがあるので、被せ物の処置も非常に重要であることがわかります。当院では、被せ物の処置の際もマイクロスコープを使用し、適合精度をできるだけ高めております。
MTAセメントは歯の神経の保護や穴のあいた歯を埋めるなど根管治療の際にも有効な最新の歯科治療薬です。MTAセメントには強いアルカリ性があり、全てのむし歯菌を取り除かなくてもMTAセメントを埋めることで患部を殺菌することが可能です。
これにより本来、歯の神経を取らなければならないような症状でも歯の神経を残せる可能性が高まります。また、封鎖性が高く、細菌の繁殖や侵入を防いでくれるので治療後の悪化や再治療の予防をすることができます。そして、歯の成分に近く、歯の組織を再生させる効果があるため、治療後の経過が非常に良好になります。
上記の処置にはどうしても時間やコストが掛かってくる為、保険診療の制限内でこれを完璧に行うのは、簡単な事では無いことはご想像できるかと思います。そのため、当院では、根管治療においては、時間や使用する機材・薬に制限の無い自由診療で治療を行っております。
日本顕微鏡歯科学会の認定医とは、顕微鏡歯科診療を行うにあたって、ドクターを指導する立場にありますが、日本に156名しかおらず、大阪には9名のみです。(2022年現在)
当院は日本顕微鏡歯科学会認定医が在籍し、治療にあたります。日本顕微鏡歯科学会認定医制度は3年以上学会に所属し、マイクロスコープの専門的な知識、経験、技術を持った歯科医師に与えられる資格です。マイクロスコープを所有している歯科医院は年々増加傾向にありますが、実際にマイクロスコープを使用して精密な治療を行える歯科医師は、まだまだ少ないのが現状です。
まずは、お電話もしくはWEB予約にてご予約をお願い致します。
※当院は完全予約制です。事前のご予約をお願いします。
根管治療に関しての問診と説明を一通り行います。
歯周病がある場合は、根管治療にはいる前に歯周病治療を先に行う必要がございます。
※歯周病治療が必要な場合は、先に歯周病治療を行います。(約1ヶ月~)
※症状によって歯周病の治療期間は変わってきます。
・不良補綴物の除去
・感染物質の除去
・APF(歯冠長延長術)※必要な場合のみ
・隔壁の作成
・仮歯を装着
・CT撮影
深いむし歯により、歯を大きく削った事で、歯茎の下に歯が埋もれた状態になると、根の治療が困難であり、抜歯と診断されるケースがあります。そんな抜歯をしなくてはいけない歯を残す為の方法の一つとして「APF(歯冠長延長術)」というものがあります。この「APF(歯冠長延長術)」は、歯肉を切開し、歯を支える歯槽骨を削ることで、治療が必要な箇所を露出させる手術です。この手術を行うことで根管治療を行うことが可能になり、歯を保存できる可能性が高まります。
隔壁とは、ゴム製のラバーダムと歯を固定する為のクランプが掛けられないほど、(削られて)小さくなった歯に対して、行う処置です。
歯の高さが2mm以下の部分が一箇所でも存在する歯、幅が1mm以下の部分が一箇所でも存在する歯は、このクランプを掛ける事ができません。その場合、レジンで隔壁を作ることでクランプを掛けられる状態に補強します。根管治療を行うほどの歯は、深い虫歯がほとんどなので、この隔壁を作るケースが多いです。
ラバーダムを装着し、マイクロスコープで確認しながら根管内部の細菌を丁寧に除去していきます。
最後に再び仮歯を装着して、この日は終了です。
経過を観察する為、1週間前後あけ次回のご予約をして頂きます。
治療した部位に炎症や膿がないことを確認します。
その後、根っこの先まですき間が入らないように、お薬を詰めていきます(根管充填)。
ここまでで、根管治療の工程は終了になり、被せ物の治療が可能と判断できたら、被せ物の治療に進みます。
根管治療を終えたら、土台を立てて被せ物を入れる治療が始まります。自分の歯を長く残すためには、精度の高い被せ物と定期的なメインテナンスが必要です。
たとえ根管治療で精密な治療を行っても隙間があるような土台や被せ物を入れてしまうと、再感染を起こしたり、残っている歯の根っこが割れてしまったりなどトラブルにつながります。被せ物は形成、印象、咬合採得の工程を踏んで、歯科技工士が模型上で作製します。この工程は歯科医師と歯科技工士の技術に大きく左右され、被せ物の精度が大きく変わってしまうのです。当院では高精度の被せ物を作製するために、一つひとつの工程にこだわり、歯科技工士と連携しながら歯と被せ物の適合性を高めています。
被せ物を入れたら「通院しなくてよい」ということではありません。健康な歯を維持するには、病気を発症させない口内環境づくりが大切です。歯科医院でのメインテナンスは、単にお口の中をキレイにするのではなく、患者様のお口の中の状態に合わせたプロフェッショナルケアやブラッシング方法を提供します。
他院で抜いてインプラントにしなければいけないと言われた歯があり、残せないかセカンドオピニオンで来院されました。
レントゲン画像にあるように、根管治療の際に誤って歯に穴が空いてしまい、そこから感染が広がっていました。また、薬が根の先まで届いておらず、治療も不十分なところがあり、この場合、通常だと抜歯の診断がされることが多いですが、患者様と相談し、当院で再根管治療を行う事にしました。
初めに歯周病の基本治療を行い、歯肉の状態が良くなった後に歯冠長延長術を行いました。
その後、ラバーダムとマイクロスコープを使用し根管治療を行い、根管内部を清掃し、歯の根の先までしっかり薬をつめ、MTAセメントを使用し、誤って穴があいていたところを封鎖しました。オールセラミックスクラウンと呼ばれる最終の被せ物の処置を行い、抜歯宣告をされた歯を無事残すことができました。
費用 | 感染根管処置(大臼歯) ¥121,000(税込) リトリートメント ¥33,000(税込) MTA ¥33,000(税込) |
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メリット | 抜歯を回避できる |
デメリット | 強すぎる圧がかかると、根が折れるリスクがある |
約120分
2回~3回
診断費用(60分、CT撮影費用を含む) | ¥33,000(税込) |
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抜髄 | 前歯・小臼歯 | ¥110,000(税込) |
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大臼歯 | ¥121,000(税込) |
※CT・マイクロスコープを用いて治療します。
感染根管処置 | 前歯・小臼歯 | ¥132,000(税込) |
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大臼歯 | ¥143,000(税込) |
※CT・マイクロスコープを用いて治療します。
破折リーマー除去 | ¥55,000(税込) |
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パーフォレーションリペア | ¥55,000(税込)(一箇所) ※MTAの量により増額あり |
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リトリートメント(過去に治療した歯の再治療) | ¥44,000(税込) |
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MTAセメント | ¥44,000(税込) |
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再植術 | ¥165,000(税込) |
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歯根端切除術 | ¥55,000(税込) |
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歯髄温存療法 | ¥66,000(税込) |
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